突然のことに頭が追いつかない。
顔を逸らすと、手首を掴んでいない方の手で正面を向けさせられた。
「……男からしたら、こーやって女のお前を簡単に捕まえられんの」
「えっ……」
「なぁ、言ってる意味分かる?」
小春。
もう一度名前を呼ばれた時、かぁぁっとまたさらに顔が熱くなった。
そんな私を見て、先輩もハッとして。
「っ、だから!もっと警戒心持てってこと!」
私から離れてそう言う先輩に、首を縦に何回も振る。
分かりましたよ、先輩っ。気をつけます!
「……あの、先輩」
「なに?」
照れ隠しなのか、少しだけムスッとしている先輩。
そんな彼に、恐る恐る、聞いてみる。
「そのぉ、今日もナルミって人、いるんですか?」