「……瑞希くんが私をそんな風に見てくれていたなんて、ちっとも気が付かなくて……知らない間に瑞希くんを傷つけていたのかな、私」


身体を起こして呟いた。


「それは仕方ないんじゃない?
お姉ちゃんは知らなかったんだから、さ。
瑞希くんの態度はすごくわかりやすかったけど……それは客観的に見てたからわかったことだし。
瑞希くんだってお姉ちゃんに気持ちを押し付けようとはしていなかったでしょ?」


諭すように話す舞花に私は何も言えなくなる。


「……瑞希くんにせめてきちんと返事をしてあげたら?
ずっと傍でお姉ちゃんを見守ってきてくれたんだから」

「……うん」


そう。

瑞希くんはいつも傍にいてくれた。

私を守ってくれた。

どんなときも味方でいてくれた。

まるで本当の兄のように。


小さな頃から転んだ私を手当てしてくれたり、行事に参加してくれたり、色々な場所に遊びに連れていってくれた。

社会人になって仕事が忙しい筈なのに、私が困っていると駆けつけて送り迎えをしてくれたりと助けてくれた。

私の誕生日や特別な日にはプレゼントを欠かさず贈ってくれた。


……近すぎて気づけなかった。