「……わかるよ、お姉ちゃん。
私も樹にそう思ってる」

「……え?」


バツが悪そうな顔で舞花がゴクン、とミルクティーを飲んだ。


「お姉ちゃんに偉そうなことは言えないんだよね。
……私だってそうだもん」

「……舞花、樹くんのこと」


躊躇いがちに口にする私に。

カラッと努めて明るく舞花は話した。


「うん……もう、ずっと好き。
樹は勘がいいから、私の気持ちなんてとっくに気付いているかもしれないけど。
それでなくても樹の周囲にはいつも女子がいっぱいだしね。
しかも綺麗な子ばっかり」


千歳さんの過去と同じね、と自嘲気味に笑う舞花。

小顔に大きな青みがかかった黒い瞳、百六十五センチメートルを超える身長にスラリと足が長い舞花はとても綺麗だと思うのだけれど。

樹くんは明るく人懐っこい性格のせいか、良くも悪くも男女問わず友達が多い。

誰に対しても変わらない公平な態度で接していると思えるけれど、恋愛感情をもつ舞花にしたら心中は穏やかではないだろう。

……千歳さんに出会って私が身をもって知ったことだ。


「……私は単に幼馴染み、みたいな位置付けだから近くにいられるし、気安く話せているけど。
告白なんてしてしまったら関係が崩れてしまう……そのせいで傍にいられなくなったら耐えられないもん」


床の上に敷いたラグの上で膝を抱える舞花。

その姿はとても幼く見えて。

立ち上がって、舞花の隣に寄り添った。