「……成る程、こじれてるね」

「……うん……」


泣きながら舞花に全てを話した。

お手伝いさんを引き受けたことは以前に舞花に話していた。

お手伝いさんとして過ごす日々のことも話していた。


ただ、四年前に千歳さんに出会ったことや気持ちを伝えてもらったことは話していなかった。

話せずにいた。

誰かに話すことで、自分だけのものだった思い出が変わってしまいそうで。

あの日、私に芽生えた初めての独占欲は。

こんなにも私に恋を主張していた。



「……とりあえず、お姉ちゃんはどうしたいの?」


千歳さんとは違う、青みがかかった黒い瞳で私をじっと見つめて舞花が言った。


「……どうって……」

「千歳くんのこと好きなの?」


直球を投げられて、弾かれたように舞花を見返す。


「……うん。
……好き……」


しっかりと私の心に根付いている想い。


「千歳くんに自分の気持ちは伝えたの?」

「……まだ……」

「何で?」


真っ直ぐに問われて。

どうしてなんだろう、と自分に問いかけた。