バカなんだから……


いくら羽生が気持ちを伝えたって、美羽がそれを受け入れないってことはわかりきってるのに。


ずっと片想いしてた相手と付き合えた美羽は、二年も前から彼のことしか見てない。


なのに、あいつはいつまでも美羽を引きずって、振られた腹いせに告白してきた後輩と片っ端から付き合ってた。


私は彼女なんて危うい存在じゃなくて、親友って立場で、そんなあいつを誰よりも近くで見てきた。


ほんとなら彼女の場所であるあいつの隣をいつも独占したりして。


あんたたちとは違うんだってとこを見せつけた。


羽生は別に彼女たちを好きなわけじゃない。


だから、私を遠ざけようとする彼女とはことごとく別れた。


きっと影でずいぶん恨まれただろう。


そのうち羽生は彼女を作るのをやめた。


代わりに彼女ではない、私といることを選んだ。


買い物にも映画にも行ったし、暇さえあればご飯を食べに行ったりもした。


本当なら彼女とやるようなことは、ほとんど私と一緒にやってた気がする。