絶対に引かれた。
でなければ、あんな顔はしないだろう。
いつの間にか教室を飛び出し、トイレにて作られた顔を落としている。
やっぱり私に魔法の効き目は、なかった。
思った通り、だと思った。
それなのに、今、溢れ出るこの水は、一体なんだったのだろう。
確かに自惚れている私が、今もいた。
友人をこれ以上待たせては悪い、と外へと出て、廊下を歩き出した。
いや、歩き出そうとした。
「え、ちょっと、一ノ瀬さん!何で泣いてんの?!」
目の前には、想い人であった森越くんが立っている。
酷く焦っている様子だった。
「森越くんこそ…どうしたの」
質問を質問で返す。