あの人だった。
「あー、レポート提出だりぃな。まだ1文字もやってねー。7枚だってよー。」
「そんなこと言ってねぇで、さっさとやれよ。」
「頭いい森越くんとは違うんですー。」
「あ、森越く…」
私の彼に対する想いが強い為に、声が出てしまった。
しかし、それ以上が出ることはなかった。
なぜなら、私の顔に気づき、彼の顔が一瞬にして凍ったからだ。
その瞬間、周りの景色が見えなくなった。
彼の周りにいた友人たちが私の顔を見て、次々に森越くんと全く同じ反応をとり、固まる。
少し自惚れていた自分が急に恥ずかしくなり、友人も忘れて教室を夢中で飛び出していた。