搦め捕られてしまった私は、とある教室に連れ込まれた。

そんな私の顔は、友人によって施された後だった。

100円均一のお店でよく見かける様な友人の小さな置き鏡に顔が映っている。

その造り上げられた作品とは、恐ろしく凄いものであった。

私の内心は、そのまま口を出た。



「すごい…」

「でしょう。紗和だって元が良いんだから、睫毛だけでも十分変わるよ。ビューラとマスカラだけ!化粧品を全部揃えるのを考えれば、安いもんでしょ。紗和は普段からクリームつけてるって言ってたから、あとはさ…」



友人は自慢げに体勢を反らす。

そして、熱弁を奮ってくれている。

その間、私には只一つの感情が永遠と体中を流れていた。



「違う」

「え、もしかして気に入らなかった?紗和はメイクしたことないって言ったから、ナチュラル目にしたんだけど…」

「ち、違う…」

「だから、何が?」

「…お化粧するって、すごいね!顔が明るくなった!なんか…」

「うん、可愛くなったよ、紗和」



それを友人に言われた瞬間、顔に火がついた様に熱くなった。

あまりにも大事に発音された、友人の言葉は目頭をも熱くした。



「おい、ちょっとー、泣いたらメイク落ちるだろー」



言葉とは裏腹に困った様な笑みを向けて、友人は頭を撫でてくれる。

その温かな掌は、とても心地好かった。

そんな時に教室に入ってきた、人物がいた。