「あ。大悟くん」


真知子のその言葉にあたしは内心びくっとする。


「柑奈、真知子ちゃん、一緒帰ろ」


清水大悟。
あたしのお隣りに住む、いわゆる幼なじみだ。
そして、あたしの好きな人だ。


「小学生じゃないんだから一人で帰れば〜?」


なんて嘘。

めちゃめちゃうれしい。

くせにこの口は可愛くない。


「もー柑奈!大悟くん、かわいそうじゃない。大悟くんも一緒に帰ろ?」


真知子のように可愛くなれればいいのに

真知子のように一緒に帰ろと言えれば


なんてあたしらしくない。


「柑奈、置いてくぞ」


教室を出る二人に置いていかれないようにあたしは机の上の鞄をひったくって追いかけた。