「結婚しよう」

目の前にはきらきらと輝くダイヤモンド。
あたしはそのきらめきにあの日々を思い出す。
あたしが1番きらきらと輝いていたあの日々を。

「‥‥柑奈?」

目の前にいたカレはきっと二つ返事であたしが頷くと思っていたのだろう。
怪訝そうな顔でこちらをうかがっている。

もうあたしも27だ‥
まわりはもう結婚した人もいっぱいいる。
あたしが今ここで頷けばあたしはそこに仲間入りだ。

かっこよくて優しいカレ。
収入だって安定してる。
きっと頷くことはあたしの人生の最良の選択肢だ。

なのに‥

なのに躊躇してしまうのはきっとダイヤモンドのきらめきのせいだ‥‥‥‥