そこで子連れのお母さんたちの他に、制服を着た男子高校生らしき人がいるのに気づいたのが一ヶ月前。


その人が私と同じ学校に通っているとわかったのが三週間前。



その人が毎朝私と同じバスに乗って登下校していることに気づいたのが二週間前。




最初は全く気にしてなかった。


大きいところにいかない人って珍しいなぁって思ったくらい。




彼の存在を認識してから私は、いつの間にか彼を目で追いかけるようになっていた。


私のほかに小さい図書館に行く変な人がいるとは思ってなかったから、気になったんだと思う。



つい一週間前、隣のクラスで彼を見かけた。


その時初めて彼が隣のクラスの人ってことを知った。



彼は友達と話していた。


いつも図書館で見る彼は真顔で本を見つめてるだけだったから、友達と話しながら時々笑う彼に、心臓が跳ねた。




彼が笑うたびに、ぴくん、ぴくんと。


それはまるで、恋の知らせのように。