――なんてね。
翔は親御さんと不仲で家に帰りたがらない。だからうちに遅くまで居たり泊まったりしている。
茉莉は料理よりお菓子を作る方が好きで、私が料理をするのが好きだから私がご飯担当、適材適所ってやつね。
本当は分かってる。二人が上っ面だけじゃなく内心から申し訳なく思っていることも。
でも、どうしても邪念を抱いてしまう。
いつから私はこんな心の屈折した人間になってしまったんだろうか……
昔はもっと素直だったのにな。
そう考えると茉莉は昔から変わらず真っ直ぐな、純粋な子だなと思う。
昔は瓜二つだったのに今はこんなにも違いがある。
変わってしまった私、変わらないままの妹、この差は何処で生まれたんだろうか。
――もし、わたしが茉莉みたいな性格だったら翔は私の隣にいたのだろうか?
私が茉莉みたいに失声症だったら――……!
肩に僅かな振動を感じ意識を戻す。