もう1年も叶わない恋をしているのだからいい加減諦めないといけないんだけど、まだ今の現状に浸っていたい。

例えどんなに辛くても、茉莉の声代わりだとしても翔の傍に居られるならそれでいい。

馬鹿な女だと自分でも思うけど馬鹿な決断をしちゃうくらい翔が好きなんだ。


「百合、俺様のガン見してなんだよ?あれか、そんなにカフェオレが嬉しかったんだな!礼は百合特製オムライスでいいぞ!」


恭介が耳を触りながらおちゃらけた様子で言う。

恭介が耳を触る時は気を使っている時と嘘をついている時に出る癖だ。


「えー今日も夕食食べてくの?まぁ良いけどさ
翔と茉莉もオムライスでいい?」


それに気付いていながら知らない振りをしてしまう私は最低だ。
だけど中途半端に彼を期待させるような真似はもっと最低な事だと思うから、だからこれで、この距離感で良いんだ。