校門の端でウロチョロとしているのはこの物語の主人公、芹澤アキ。
今日の芹澤アキはいつもと違うかった。
いや、正確には彼女だけだ違うと思っていたのかもしれない。
彼女は今、人生最大の試練に立ち向かおうとしていた。


昨日天気予報で、アナウンサーが明日は大雨になるでしょうと言っていたのが嘘かのように雲ひとつない晴天。
学校の校門を女子高生たちがキャアキャアと騒ぎながら入ってくる。

その数分後、校門から1人の男子高校生が入ってきた。

通りすがりの女性達が振り向くほど綺麗な顔立ちをしている。JKが大好きなイケメンというやつだ。

するとウロチョロしていた芹澤アキがそのイケメン男子に猛スピードで走って近づいてた。

そしてイケメン男子の目の前で立ち止まった。
アキは大きく息を吸って、

「ずっと前から好きでした!付き合ってください!」
と言った

その声は朝練で校庭を走っていた空手部の子達にも聞こえるほどの大声だった。

それを聞いた男の子が発した一言は強烈なものだった。

「俺、バカな奴は興味ないから」

そう言い捨て校舎に向かった。

この出来事があったのは30分前、そして今私の前でワンワン泣いている彼女がさっき振られた芹澤アキ。
ちなみに私はアキの友人の森川凛!って誰に自己紹介してるんだろ?

「もう立ち直れないよぉぉぉ」
「はいはい、じゃあなんで告白したの?」
少し呆れ半分で聞いた。
「だって、高1から好きだったししかももう高3じゃん?だから…」
「そういうことねあんた急に突っ走るとこあるんだからさぁ」
「うん」
「そういえばあんたなんで橘君のこと好きになったの?」
「それは今から2年前になるんだけど…」