翔ちゃん‥‥
でも、あたしが出ようか出まいか迷っていると 切れてしまった。
あ‥切れちゃった‥
翔ちゃん何か用事あったんかな?
あたしがみんなから離れて 携帯を見つめて ぼんやりしていると、仲良しの男子に呼ばれた。
「おーい!ちびすけ!ビール開けんで」
「ちびゆーな!ばか!」
あたしはその子の隣に走っていった。
「てかみんなお祭りって遊ばんの?マナ金魚すくいしたいのに!」
「行かん行かん」
「人ごみしんどい」
みんなお酒飲んで、のんびりしてるからか かなりノリが悪い。
むぅ‥‥マナはパーッと遊んで飲んで 気を紛らわしたいのに‥‥
そんなとき、また翔ちゃんから電話がかかってきた。
「もしもし?」
『あ!マナ?花火見える?』
「ちょー間近で見えるよ!めっちゃ綺麗!」
『ほんまに?俺ら全然見えへんってー!』
「だっさ(笑)てかマナと金魚すくいしよ?」
『お!やろやろー!今どのへん?』
えっ
ほんまにいいん?
「桜ノ宮駅側におるよ」
『ん、ちょっと待ってな。‥‥‥なー!俺ちょっとだけ抜けていい?』
"あかーん!翔ちゃん行ったらいややあ~"
女の声で、そう聞こえた。
彼女じゃないくせに。
ちょっとくらい、マナにも貸してよ。
ほんまはマナが翔ちゃんと行くはずやってんから‥‥
あたしは謝る翔ちゃんに冷たくして、電話を切った。
それから何回か掛かってきたけど 取らなかった。
そんなに掛けてくるのも マナが愛沙さんに似てるからやろ‥