翔ちゃんには、2回生の夏前から3回生のクリスマス前までの1年半付き合ってた愛沙(アイサ)っていう彼女がおった。


愛沙さんは翔ちゃんと違って社会人で、でも翔ちゃんだけを見てくれて 仕事の合間に時間作って会ったり すごく尽くしてくれて 友達も家族も認める"真面目でとても良い子"やったらしい。


翔ちゃんも相当惚れてたらしいけど、時間が経つにつれて "重い、うっとうしい"って思ってしまうようになった。

それで、セフレを作った。
そのセフレと付き合うことになって、クリスマス前 愛沙さんを振った。


でも そのセフレとはすぐに別れてしまって、愛沙さんの大切さに気付いて 何回も何回も謝ったけど 何回も何回も会いに行ったけど‥‥浮気のショックが大きすぎて、もう翔ちゃんのコトが信じられなくて 戻ることはできやんかったらしい。








それから3ヶ月。
4回生になる春休み、愛沙さんにソックリな子に出会った。




『白くて小さくて雰囲気もソックリで、生意気やけど たまに頼ってくるから‥そばにいたくなる‥守ってあげないと‥って』

「‥‥」

『名前もソックリ。着信画面見ると、いつもビックリして 2度見してまう。出ると声もソックリやねん』

「‥うん」

『いつの間にか重ねてた』

「‥うん」



あたしは翔ちゃんにバレないように、静かに泣いた。



『ま、性格は若干ちゃうけどな!(笑)愛沙は本気でキレたら殴るし蹴るし、携帯ベランダから道路に向かって投げつけるし!』

「若干っていうか全然違うやん(笑)」



あたし、精一杯笑った。



『まあな(笑)お前は俺にとって、特別やわ。妹、みたいな。』

「うちも翔ちゃんは特別。お兄ちゃんみたいな(笑)」

『真似すんなや』

「してないもん」

『じゃーそろそろ寝よっか』

「うん、おやすみ。‥翔ちゃん、元気出して。戻らんかったんはもっと他にいい人がおるからやで」

『おう、おやすみ』






あたしは電話を切ると、すぐに声を出して泣きじゃくった。