「‥ナ‥マナ‥マナ!」


次に起きると、目の前にはかなり焦った翔ちゃんがいた。


それもそのはず。
時計を見ると、0時54分。
終電なんてとっくの昔に行ってしまった。




「ごめんなあ、つい寝ちゃった。終電ないけど、帰る?タク代は俺が出したるから」

「や‥そんなん悪いよ」


いやいや‥それじゃマナの二度寝した意味がなくなります。


「気い遣わんでいいから、ほんまに帰りたかったらゆってな?」

「‥帰りたくないよ」



あまりにも帰そうとする翔ちゃんに、あたしは思わず本音が出てしまった。



「だってめんどくさいし」



ごまかしたけど‥。



「それもそおやな。まあとりあえずお風呂入ってきい」

「わかったあ」




あたしはまた当たり前のように、お風呂を借りた。



なんとか泊まることにこじつけたあたしは、眠そうな顔しながらも 心の中ではガッツポーズだった。


これで朝まで翔ちゃんといられる‥。







あたしは翔ちゃんの何か特別な存在になりたかった訳じゃなかった。


ただできるだけ長く一緒にいたかった。

それだけだった。