あたし達はキャッチやスカウトの人は基本無視するか すごく暇な時だけ話すタイプ。まあ今は帰ろうとしてるので暇ではない。=この人は無視する。
だけど、布施までの行き方を聞いてきたのかなあ と思ったあたしは、とっさにこう言った。
「JR乗って鶴橋で近鉄に乗り換えですよ」
「よぉ知ってるやーん!」
???
なにこの人?酔ってんの?
からかってんの?
あたしは少しムッとした顔をしたので、その人は焦って口をひらいた。
「怒ってる?ごめんごめん!俺秋にガールズバーを布施でオープンさせるんやけど、今女の子探してて‥ほんで何歳かな?」
「もうすぐ17ですけど」
その頃ないわけではないけど お金が欲しくて欲しくてたまらなかった あたしは、無視し続ける美優をよそに その人と話し始めた。
「うわーめっちゃ残念!すごい君ら‥特に君は俺の店のイメージにあってたのに。」
「マナもちょっと興味あるんやけどなぁ」
その人は"特に君"と言って あたしを見たから、少し気分が良いというか‥‥お金も欲しいし 働かせてほしいと思った。
「じゃあ、18歳なるまでご飯行ったりして仲良くしよ?もちろんおごるし。ほんで18歳なって もし良かったら働いてほしい」
「はい!」
そして、あたしと美優はその人と番号を交換した。
その人はケントくんといって、25歳で でも25歳には見えないくらい童顔で 22.23歳くらいに見えた。
ケントくんのことはそれくらいしか教えてもらってない。
けど、まあかっこいいし 3人で遊びに行く分にはいいかなあ‥
それに 仲良くなったら、18歳になる前でも働かせてくれるかもしれんし!
この時のあたしの考えはかなり浅はかだった。