席へ案内した後もじーっと私は東くんに見られていた。

うっ…お願いします!こっち見ないで!確信を持たれるってのもあるけど、なによりもその美しい顔でガン見されると心臓がっ…!

東くんはこんなお店にくるような感じではないからきっとこののほほーんとしたお友達が誘ったのだろう。


「それではお決まり次第お呼びください。」

そう言って私は逃げるようにして席を離れた。
そして私は厨房に直行。


「千里ー!!!」
厨房の隅でスマホをいじっているのは
幼なじみの千里(♂)
お母さんみたいな性格でなにかとおせっかい。
バイト先が同じなのだって私が心配だから。
まぁそうゆうところも大好きなんだけどね。


千里は半泣きな私にぎょっと目を見開く。

「ど、どうした美華…」

「あ、あのねっ、お、王子がっ」

「王子?」

「東くん!東くんがいて!わ、私の名前を!!」

私の言葉に千里はわけが分からないという顔をしつつ、ホールの方を覗く。


そして口をあんぐりさせて

「が、ガチだ…」

「嘘なんてつくわけないじゃん!」

私達はふらふらと座り込む。

「ど、どうして、王子がこんなところに…」

「わ、わかんないよ!私が聞きたい!」

小声でコソコソと話す私達を不思議そうな目でみる他のスタッフ。

「しかも、私の名前呼んだんだよ!」

「りんごって?」

「ちがう!片桐って…」

そう言うと千里はさっき以上に目を見開いた。