あたしを助けたオトコはカオルではなかった。

あたしを助けたのは、あのときのお相撲さんだった。


「走れ! 早く走れ――!」


あたしとお相撲さんは走った。

そして、なんとかサングラスたちを振り切って、

あのとき、初めてカオルと体を重ねた、あの神社へと来ていた。


お相撲さんは、ハァ、ハァと荒い息をしている。


「どうして? あたしを助けてくれたの?」

「ハァ、ハァ、おいどんの顔、忘れたでごわすか!」

「えっ…………!」


お相撲さんは、


…………ヒロシだった。


あたしの初めての相手。

シンジュクで出会った、ホストのヒロシだった!


「おいどん、念願の格闘家になれたでごわすよ」

「ヒロシ……、夢を叶えたんだね……」


 あたしはヒロシとセックスをした。