さまよいつづけるあたしの前に、黒塗りのワゴンが突然止まった。
――あのときのワゴンだ。
私を尾行していたワゴン。
ワゴンの中から、サングラスにマスクのオトコたちが、またワラワラと下りてきた。
あのときは、カオルが助けてくれた。
でも、私はもうカオルに捨てられた……。
今度も、カオルが助けに来てくれるかな……?
もし、カオルが助けてくれなかったら、もう諦めようと思っていた。
犯されて殺されてもいいし、マレーシアに売られたって構わない。
このときのあたしは、もう何もかもに、絶望していた。
あたしに、抗う気力は、まったくなかった。
そんなあたしの腕を、力強い手が掴んだ。
「こっちだ! 走れ――!」
………………カ、カオル?
――あのときのワゴンだ。
私を尾行していたワゴン。
ワゴンの中から、サングラスにマスクのオトコたちが、またワラワラと下りてきた。
あのときは、カオルが助けてくれた。
でも、私はもうカオルに捨てられた……。
今度も、カオルが助けに来てくれるかな……?
もし、カオルが助けてくれなかったら、もう諦めようと思っていた。
犯されて殺されてもいいし、マレーシアに売られたって構わない。
このときのあたしは、もう何もかもに、絶望していた。
あたしに、抗う気力は、まったくなかった。
そんなあたしの腕を、力強い手が掴んだ。
「こっちだ! 走れ――!」
………………カ、カオル?