カオルと暴漢たちとの死闘が始った。

禅寺で修行したカオルはホントウに強かった。

オトコたちを蹴り、殴り、投げ倒していた。

ガッシ。

ポカッ。

こんな人数のオトコに囲まれ、それでも渡り合っているカオルは、本当にスゴイと思った。

カオル、カッコイイ……。


オトコたちの一人が、カオルに投げ飛ばされ、あたしの足下に転がった。

あたしはオトコに何度も蹴りを入れて、「内臓が破裂しますように」と神に祈った。

あたしの願いが通じたのか、オトコは血反吐を吐いた。


その瞬間に、オトコのサングラスが外れた。

しかし、そこから見えたカオは、フツウではなかった。

カオルに殴られたせいか、目は閉じることができないほどに盛り上がっていたし、

内出血のためか、顔全体が真っ青に変色していた。

そして、オトコはうなるような泣き声を上げていた。


「きゃあ!」


あたしはオトコにもう二三発蹴りを入れた。

オトコはうめくのを止めた。


「やめろ! 見るんじゃない!」


オトコたちを全員倒したカオルは、慌ててあたしの目をふさぐと、あたしを連れて大急ぎでその場を離れた。