浜辺へ帰る途中、あたしはカオルに聞いた。

「カオル、あなたの夢は?」

「夢? 夢なんかないさ。こうして、毎日魚を釣る。それでいいのさ」

「ふうん」

あたしは失望した。やっぱり、カオルは第一次産業従事者だ。


「あ、でも、夢っていうか、目標はあるぜ」

「なに?」

「でっかいタコだ」

「タコ?」


カオルは恥ずかしそうに頭をかいた。


「たまに見るんだ、夢を。すっごいデッカイ、タコの夢を。オレはいつか、あいつを釣ってみせる。それがオレの夢なんだ」

「へえ……」


やっぱり、カオルってカッコイイ……。