"幼なじみを演じている"ーーロウの声が、頭の中で響く。

もう何事もなかったような2人は、今まさに演技の真っ最中なのだろうか…。

12月の陽は短く、空にはもう星がチラついていた。


「ロ……」

言おうとしたロウへの想いーーー言えないままでいいの?

「ローーウ……‼︎」

気がつけばあたしは、ロウの名前を呼んでいた。

あたしの声に2人ともが気付き、離れた場所から振り返る。

「あ、あたし………!」


ドクンドクンと、身体中がうるさかった。

「ロウのことが、好き……‼︎」


い…言った……。

ロウーーー……。

「大丈夫、知ってるから(笑)。それより早く帰れよな」

「……」

そうあたしに返事をしたのはーーーリョウくんだった。

そして今度は、帰っていく2人の背中を見つめることなく、あたしも自分の家に向かった。


「あら夢希ちゃんおかえり〜。今日のご飯は何がいいかしらね。……夢希ちゃん?」

あたしはお母さんに返事もせず、自分の部屋に入った。