「いいの、あたしもそうじゃないかって思ってたから。リョウくんには、ありさちゃんしかいないんだよね」

「…」

ロウは、何も言わなかった。

「でも大丈夫!あたしも、リョウくんから好きだなんて言われて、浮かれてただけだったみたい…って気づいたから」

あたしは、ロウがあたしに話したことを後悔しないように、明るい口調で話した。

それに、嘘を言っているわけじゃない。

あたしはーーー…自分の気持ちに気付いていたのだから。

思わず立ち止まってロウを見つめるあたしと、それに気付いて立ち止まるロウ。


「ロウ、あたしーーー」

「夢希!」

少し離れたところから、あたしを呼ぶ声が聞こえてきた。

「リョウくん…」

リョウくんの家からは少し距離があるこんな場所で、まさか遭遇するなんて……。

「何でロウと一緒なんだ…⁈俺は何度も連絡したんだぞ」

リョウくんは、ひどく機嫌が悪かった。