「リョウくん…?」

「あ…ごめん、次行こうか」

「うん。……わ、ゎ、わ、リョウくん…っ」

ありさとの思い出が溢れそうになった俺は、現実に戻ろうと夢希と手を繋いだ。

「何だよ夢希、ガチガチすぎ(笑)」

「も、もおっ!」

「あはは」

夢希をからかっていると気がまぎれるーー手を繋いだくらいでコレだからな、免疫なさすぎだろ。

夢希の手は、当たり前だけど俺よりも小さくて、それだけでもありさを思い出す材料になってしまう。

別に夢希でなくても、大抵の女子の手は俺よりも小さいだろうけど。

「夢希」

「ん?」

「最近、明るくなったな」

「……」

「こっちが、本当の夢希なんだろ?」

「リョウくん……」

俺の言葉に、複雑そうな表情を浮かべる夢希は、しっかりと俺のことを見ていた。

「夢希はさ、」

俺は、ゆっくりと言葉を続けた。