そういえば顔を見るのは夏祭り以来で、あたしは無意識のうちに、その横顔をじっと見つめていた。

「なに…?」

あたしの視線を感じのか、佐久田くんは頬杖をついたまま話しかけてきた。

「え、あ…な、何でもない」

やっぱり不機嫌そうな佐久田くんに、あたしは目をそらした。

「なんだよ、無愛想だな(笑)」

「だってそれは佐久田くんが…!」

ーー佐久田くんが、そっけないから……。

そう言いかけたのを飲み込んでから、佐久田くんの顔を見ると、意地悪く笑っていた。

「夏休み明けでかったるかっただけだから。悪かったな」

「……っ」

相変わらず佐久田くんは、あたしの気持ちを読んだような発言をする。

そしてあたしは、佐久田くんの笑顔で、こんなにもほっとした気持ちになるから不思議だ。

程なくしてまっすーが現れ、体育館に移動するようにと指示がでた。

その途中、他のクラスの女子たちが、あたしを見てはヒソヒソと耳打ちをしていた。