「あたし、隣のクラスの友達から聞いたんだ!2人で一緒にいるところを何回か見た、って。ね、本当?」

斎藤さんは、見るからに興奮していた。

「さっきも、教室まで一緒に来てたでしょ?あ〜、わたしドキドキしてきたぁ」

その興奮が小野さんに伝わったのか、小野さんの目がハートに見えてくる…。

「で、どうなの夢希ちゃん」

斎藤さんが、ぐいっと顔を近づけてきた。

「どうって…まぁ、うん…本当、だよ」

詰め寄られておどおどしながらも、女子は相変わらず恋愛話が好きだな…なんて他人事みたいに冷静な自分もいた。

「わぁ!やっぱりそうなんだ!いいなぁ〜」

小野さんが、手のひらをパチンと叩く。

「でも夢希ちゃん、気をつけた方がいいよ」

斎藤さんが、やっと声をひそめた。

「菊谷くんってモテるから、敵になった女子から嫌がらせとかされるかもよ?」

「……」

まぁ……陰口くらいなら、どうって事ないけど。

「え〜っ、嫌がらせとか怖いよー」

小野さんは、何を言ってもほわほわしているように聞こえる。