夏休み中、何度か菊谷くんと会ったけど、ありさちゃんの話題には触れられなかった。
とても深い古傷のようで、触るのが恐かった。
あたしの思い過ごしならいいけど、前に付き合っていた子とか、そんな軽い話じゃない気がしたから。
だからかな、結局佐久田くんにも聞けないまま、新学期を迎えてしまった。
「おはよ、夢希」
「リョウくん」
上履きに履き替えていたら、頭の上から声が降ってきた。
久しぶりの学校だからとダラダラ気分でいられるのも、始業式の今日だけ。
あたしたちは受験生、今日から9月だ。
2学期の成績で志望校がほぼ確定するから、気が抜けない……はずなのに。
「どうした?」
「ううん、何でもない」
夏休みの間に、菊谷くんのことを"リョウくん"と名前で呼ぶようになったあたしは、どこか浮き足立っていた。
夏祭りの日、佐久田くんのことを名前で呼んだ時は、恥ずかしくて爆発してしまいそうになったのに。
とても深い古傷のようで、触るのが恐かった。
あたしの思い過ごしならいいけど、前に付き合っていた子とか、そんな軽い話じゃない気がしたから。
だからかな、結局佐久田くんにも聞けないまま、新学期を迎えてしまった。
「おはよ、夢希」
「リョウくん」
上履きに履き替えていたら、頭の上から声が降ってきた。
久しぶりの学校だからとダラダラ気分でいられるのも、始業式の今日だけ。
あたしたちは受験生、今日から9月だ。
2学期の成績で志望校がほぼ確定するから、気が抜けない……はずなのに。
「どうした?」
「ううん、何でもない」
夏休みの間に、菊谷くんのことを"リョウくん"と名前で呼ぶようになったあたしは、どこか浮き足立っていた。
夏祭りの日、佐久田くんのことを名前で呼んだ時は、恥ずかしくて爆発してしまいそうになったのに。