中から出てきてのは、ピンク系の配色が可愛らしい、パワーストーンのブレスレットだった。

「菊谷くんこれ……」

「午前中に急いで買いに行ったから、たいしたものじゃないけど…誕生日おめでとう」

「ありがとう…。あの、あたし…何にも用意してなくて……」

やっぱり何か用意すれば良かったと、今更後悔しても遅かった。

「気にしなくていいって。夢希が彼女になってくれたことが、俺にはプレゼントなんだから」

「……」

菊谷くんは、優しい笑顔だった。

他の男子から言われたら引いてしまうような言葉でも、菊谷くんが言うとハマるから不思議だ。

イケメンのなせる技ってやつ?

なんだか、あたしにはもったいない人じゃないか、って気がしてきたよ。

「つけてみて」

「…うん」

言われてブレスレットをつけると、左手首がひんやりとして気持ち良かった。

「良かった、似合ってる」

そう言って菊谷くんは、笑った。