「あはは。そうそう、俺が言い出しっぺ(笑)」

「…菊谷くんは、行きたい高校とかあるの?」

あたしは恥ずかしい気持ちから逃れるために、話題を戻した。

「俺?俺はS高、かな」

「……」

そうなんだ…何だか意外。

S高って言ったら、あたしより少し頭のいい小野さんが、行きたいと言っていた高校だ。

菊谷くんは、もっと上を狙っているのかと思ってた。

「夢希も、もう少し頑張ればS高に行けると思うよ」

「あ〜…、小野さんにもそんなようなこと言われた」

「だろ?夏休み中に受験対策すれば、まだ間に合うから。よし決まり!一緒にS高を目指す!」

「……」

また勝手に決めちゃうんだから…。

でも、「一緒に」って言われたのが…なんだかくすぐったくて、嬉しかった。

「あ、そうそう。これ」

「え…」

菊谷くんから突然手渡されたのは、小さな包み。

「開けてみて」