「大きな家だね…」

「そうか?あ、二世帯だから少し大きく見えるかもな」

家とか詳しくないけど、そういうものなのかな…それにしても大きいと思うけど。

菊谷くんの家は、門構えからして立派だった。

「夢希、入って」

「…」

菊谷くんに促され玄関に足を踏み入れようとした時、となりのドアが開いた。

「あら、ありさちゃん?」

「え?」

「ばあちゃん違うから。この子は夢希っていうの」

「あらあらごめんなさい。ありさちゃんに背格好とか雰囲気なんかが似ていたから…私も歳ね」

菊谷くんのおばあちゃんは、笑顔で去って行った。

「……」

"ありさちゃん"って、誰?

菊谷くんのおばあちゃんは、あたしに似ていると言っていた。

あたしの中が、ざわざわと嫌な音を立てていた。

「菊谷くん…」