13時ーーー

「お、おまたせ…!」

「待ってないから(笑)。走ってこなくても良かったのに」

待ち合わせは学校の校門の前、菊谷くんは涼しげな笑顔をしていた。

「……」

「どうした夢希?」

「ううん、何でもない」

昨日はこの場所で、佐久田くんと待ち合わせたな…なんてことを思い出していたなんて、言えなかった。

だって佐久田くんは嘘をついたから、待ち合わせたことを菊谷くんは知らない。

「行こっか」

菊谷くんが歩き出し、それについて行くあたし。

歩幅を合わせてくれるだけでキュンとしちゃうあたしは、きっと単純なんだろうと思う。

空はよく晴れていて、佐久田くんの笑顔みたいだったーーー。


「わぁ…」

菊谷くんの家に着いて、あたしは小さく感嘆の声をあげた。