相変わらず自己中な菊谷くんーーー。

でも、歩幅を合わせてくれたり、優しいところもある菊谷くん。

まさか、その菊谷くんから告られるだなんて…。

「よろしくな、夢希」

でもさっきの菊谷くんの言葉に、少し…いや、かなり感動したのは紛れもない事実だった。

ズバリ当てられたあたしの胸の内ーーそれだけ見ていてくれてたということが、単純に嬉しかった。

だからあたしは、頷いたんだ。

付き合うとかまだ良くわからないけど、あたしの中から飛び出してきそうなこのドキドキを、信じることにした。

14歳最後の日、あたしに初めての彼氏ができたーーー。



「あら夢希ちゃん、今朝は早いのね。おはよう」

「おはよう…」

お母さんとは、浴衣を買ってもらった日から、少しずつだけど会話が増えていった。

まだ、当たり障りのない会話しかできないけど。

「今日は夢希ちゃんのお誕生日ね。おめでとう!」

「…」

夏祭りから一夜明けた今日は8月1日、あたしの15歳の誕生日だ。

それから……菊谷くんの誕生日でもある。