「夢希…」

「…」

名前を呼ばれ、あたしは菊谷くんを見上げた。

座っていても、やっぱり菊谷くんの背は高かった。

「俺、夢希のことが好きだ」


はい……?

今なんて……。

「夢希は、俺のことどう思ってる?」

「ど、どうって……」

何の前フリもなく突然そんなことを言われても…考えたこともなかったし、だいたい菊谷くんがあたしなんかを……本当に?

困っているのかテンパっているのか……多分その両方のあたしはどうしたらいいかわからなくなって、黙ってうつむくしかなかった。

「夢希は、もっと言いたいこと言って、自分を出していいんだよ?」

菊谷くんは、静かに話し始めた。

「いつも思うだけで言わないだろ?家族に対しても、閉じこもってないか?」

「……」

なんで菊谷くんが、そんなこと……。

「転校してきてからずっと夢希を見てきたから…だから、何となくだけどわかるんだ。もう閉じこもらなくていいから。辛いこと、たくさん経験してきたんだろ?俺で良かったら話してよ。夢希のこと好きだから、もっと知りたいんだ」