菊谷くんが奢ってくれたジュースを一口飲み込むと、喉がスーっと冷たくなって生き返るようだった。

そして、これまた菊谷くんが奢ってくれた食べ物を、みんなでテキトーに分けて食べた。

「もう少ししたら盆踊りが始まると思うんだけど、そうしたら少し空いてくるから、その時また戻ろうな」

「うん」

盆踊りに参加する人数の分、歩行者が減るということだろうか…よくわからないあたしは、とりあえず菊谷くんの提案に頷いた。

「オレ、ジュース買ってくるわ。喉カラッカラ」

佐久田くんが、いつの間にか空にしたペットボトルを振りながら言った。

「おー、気を付けてな」

菊谷くんは、軽く手をあげて佐久田くんを見送っていた。

そしてそのまま、佐久田くんは戻って来なかった。


「あ……」

少しして、盆踊りの曲が聞こえてきた。

「佐久田くん…遅いね」

佐久田くんは、ジュースを買いに行くと公園を出たままだった。