「ロウ、いつものとこ行くか?」

「そうだな。夢希、ちゃんとついて来いよ?」

「うん」

この神社は、2人の家から近いと言っていたーーーきっと毎年参加していて、落ち着くのにいい場所を知っていたりするんだろう。

神社を出て少し行くと小さな公園があって、2人はそこへ入っていった。

公園には誰もいなく、あたしたちはベンチに座った。

「夢希はこれでいい?」

「うん。あ、お金…」

あたしは菊谷くんからジュースのペットボトルを受け取り、そのお金を払っていないことに気がついた。

「いいってこれくらい」

「でも……」

「いいって言ってんだから、素直に奢られてよ」

「…あ、ありがと」

「素直でよろしい(笑)」

そう言って菊谷くんは、あたしの頭にポンポンと優しく触れた。

佐久田くんはというと…ひとりブランコに乗っていた。