「わ、悪かったわね」

そして、やっと出てきた言葉は憎まれ口だった。

「わははは!違うって夢希、いい意味で言ってんの」

笑われたあたしは、ムスッとした顔しかできなかった。

素直に「ありがとう」と言えればいいのだけど、その一言があたしには簡単なことではなくて。

でも、わかってるから。

自分でもわかる、増えた口数と表情の種類。

それに……どうせまたいつか転校するのだろうけど、できればもうしたくないという思い。

うぬぼれかもしれないけど、佐久田くんは転校してきてからのあたしを、ずっと見てくれている気がするから。

言わなくても、あたしのそんな思いを知っているんじゃないか……なぜかそう感じてしまうんだ。

だから、「変わったな」って言ってくれた佐久田くんの思いも、あたしなりにわかっているつもり。

「佐久田くん、ありが…」

「夢希!ロウ!」

少し離れたところから聞こえてきた声が、あたしの言葉を遮った。