「うん。さっきからずっと、首の後ろのところ気にしてない?」

「え…あ、ホントだ。」

言われて気が付いた佐久田くんは、自分の右の手のひらを見ていた。

無意識に触っていたなんて、癖なのかな。

「なぁ夢希?」

「なに?」

「オレって歩くの早いか?」

「うん」

「何だよその冷たい即答は(笑)。夢希が遅いんじゃねーの?」

「早いかって聞いてきたから正直に言っただけでしょ⁈冷たいとか遅いとか失礼だから」

「ふ……あはは!」

「……?」

佐久田くんは、突然高らかに笑いだした。

そして、穏やかな笑顔になって言ったんだ。


「夢希、変わったな」

ーーー…って。

その言葉にあたしは、反応できないでいた。

いつになく佐久田くんの表情や声が、優しすぎてーーー。