「どこに……って、よく見えたね」
えへへ。
理久だったら、どこにいても見つけれる自信があるもんね。
「小沢君、お願い」
「はーい」
小沢君はそう言って、私を後ろから抱きしめた。
これはちょっと……やりすぎでは?
「おい、慎之介!なにやってんだよ!」
理久は小沢君を私から引き離し、頬を殴った。
小沢君は倒れたのに、理久は容赦なくその上に乗り、胸ぐらを掴んだ。
私はなんだか怖くて、廊下の壁に背中をつけた。
「いったいなあ……理久があまりに柚月ちゃんにイタズラばかりするから、僕が柚月ちゃんをもらってあげようと……」
「ふざけんな!柚月は俺のだ!」
どうしよう……
こんなときなのに、嬉しさが溢れてるよ。
じゃなくて、早く理久を止めないと、小沢君が怪我しちゃう!
「理久!トリックオアトリート!ハロウィンなの!」
「は?」
理久は私のほうを見てくれた。
許してくれる……かな?
「バカ……心臓に悪いっつーの」
理久は小沢君から離れた。
よかった……
「ごめんね、理久……怒った?」
「怒るかよ。ったく……」