「柚月のためにも、協力してくれない?」
「もちろん。まあ、どんな理由でも協力する気だったけどね」
さすが、女の子にだけは優しく紳士な小沢君。
「よし、じゃあ行ってこい!」
綾菜ちゃんは私の背中を二回叩いた。
私たちは廊下を並んで歩く。
「柚月ちゃん、もう少し僕のほうに……」
「イヤ。理久以外の男の人の隣に立ちたくない」
「そうは言うけど……これじゃ作戦、実行できないよ?ていうか、アイツ、柚月ちゃんにイタズラしかしてないんだよ?」
作戦を実行するときくらい、我慢するもん。
「だから?私は理久が好きなの。なにをされても、理久といたいの」
「じゃあどうして新藤の作戦に?」
それは……
「……私は理久のことが好き。それは間違いない。けど……理久が、本当に私のことを好きかなんてわからないから……」
「なるほど。さすが、柚月ちゃんの気持ちを理解してるね、新藤は」
それはいつも思う。
本当、綾菜ちゃんには感謝するよ。
でも、このイタズラを楽しむのはちょっと……
「あ、理久!」
すると、人混みの中を歩く、理久を発見。
運良く、私たちのほうに歩いてくる。