「いい?柚月。絶対にアイツに仕返しするのよ?」



西階段の影で、私は綾菜ちゃんに肩を掴まれていた。



「綾菜ちゃん……本当にうまくいくかな?」


「いく!自信持って!」


「うーん……」



実行するのは私なのに、どうして綾菜ちゃんはこんなに楽しそうなのかな?



「柚月ちゃん、新藤?僕に用って?」



すると、この作戦にとって重要な人物となる、小沢君が影を覗いていた。


小沢君は私の彼氏、理久の友達なんだ。



「小沢、ちょっと協力しなさい。アイツに仕返しするの」


「へえ。それは面白そうだね。で、具体的にどうするの?」



小沢君も綾菜ちゃんと同じような顔に。


理久にイタズラするの、そんなに楽しみなのかな?



「小沢と柚月を付き合わせる」


「……は?」



小沢君は目を点にした。


そりゃそうだよね。


いきなりこんなこと言われたら、誰だって戸惑うよね。



「まあ実際、嫉妬作戦なんだよね。アイツ、柚月にイタズラばかりで、本当に好きかなんてわかんないでしょ?」


「それは確かに」



小沢君は即答。


周りから見ても、やっぱりそうなのかなあ……