「おめでとう、おめでとう、芹奈!」




ぎゅっ、と抱きしめてくれた柊香に、我慢しようとしていた涙が零れた。


見ると柊香も泣いていて、顔を見合わせて笑う。




「よかったね、芹奈」


「うん、ありがとう…」




隣を見ると、コウが秋樹に「やったなー!!」と抱きついていて。


秋樹はちょっと鬱陶しそうにしていたけれど、何だかんだ嬉しそうに笑っていた。


高嶺も、よかったな、と笑ってくれた。




こんなにたくさんの人に支えられて。


大好きな人に大好きと言える幸せが。



胸がいっぱいで、ぽかぽかして。



幸せな春の風に包まれて、私たちは、私たちの狭い世界の全てだったこの学校を。

涙も笑顔も思い出も、全部詰まったこの学校を、卒業した。