「東京行っても、頑張ってね」


「うん、会いにくるよ」


「私も行くよ」





もう、寂しくなかった。


やっと心から、頑張れって言えた。




秋樹の瞳にだけ、私があんなにも綺麗に映る理由が。


シャボン玉と一緒に、私を撮ったわけが。


宝物って、タイトルの意味が。


やっとわかったから、もう寂しくないよ。






温かい春の風が、少し開いた教室の窓から優しく私たちを揺らす。



初めて触れたきみの唇は、



優しくて、甘くて、幸せで、


ほんのすこし、涙の味がした。