そしてまた私の身体をギュッと抱きしめてより密着すると、『美月って呼んでもいい?』そう聞いてきた。

『うん...』

やっと私が声に出して答えることができると、抱きしめていた腕を緩め私の顔を見下ろして、『じゃあ美月も蒼汰って呼んで』と機嫌良さそうに言ってきた。

『え?...無理無理無理!』

頬に集まる熱を感じながら反論すると、『なんで?』と唇を尖らす彼に、『だって...そんな急に』と返すと『じゃ~ちょっとだけ待つ』と猶予をくれた。

そうして付き合い始めた私達だけど、もてる彼とのお付き合いは別にオープンにしなくてもいいと私は思っていた。

それなのに次の同期会で私達の関係はあっという間にみんなに知られることとなった。

残業してから参加した私はいつも同期会で集まる駅前の居酒屋に遅れて到着した。

店員さんに案内されてみんなの席へ向かうと、もうすでに盛り上がっていたみんなが私の姿に気付いて手を上げてくれた。

『おお!小暮さん遅いよ』

『美月~、お疲れ様。待ってたよ』

いつもの笑顔でみんなが迎えてくれた中、彼が声を上げた。

『美月、ここにおいで』

そう言って自分の隣へと呼び寄せた。

その言葉にみんなの動きがピタッと止まった。

そのあとみんなの視線が彼と私へとゆっくり流れる。

そして一斉に『えー!!』と驚愕の声を上げた。