放課後。俺と水野はみんなが帰るまで待っていた。
とんでもない勇気がいる。
「どーしたの、なんかあったの?」
水野は心配そうに俺を見る。
…深呼吸…。
「あのさ、水野の弟…イジメられてるんだ」
水野の表情が固くなっていく。
「…え…?」
こわばった笑顔だ。見ているだけでツラい。
「え、青柳くん、嘘だよね?」
「…嘘じゃない」
水野は不思議な顔をしている。
「だって…だって、弟、毎日すごく楽しそうに帰って来て、話してくれて、」
水野の瞳から涙がこぼれる。
「全部嘘だったの…?」
「多分」
「全部、偽物の笑顔だったの?全部、作り話だったの?全部?」
「…」
水野は涙を拭く素振りも見せず、こぼし続けている。