合唱祭が終わって、みんなダルダルモード。
「みんなタルタルソースじゃなくてダルダルソースじゃん」
「ブッッ」
隣で水野が呟く。思わず吹き出してしまった。
「なっ!笑うことないじゃん!」
「それ、笑わないでどーすんだよ」
いつもみたいに笑う。
ひとしきり笑ったあと、水野が話を切り出す。
「私さ、弟が剣道部に入って本当に良かったって思ってるんだぁ」
え…。体がこわばる。剣道部には、あいつの居場所ないのに…。
「…なんで?」
こわごわ聞く。
「最初ね、弟、テニス部に入りたいって言ってたの。私もお母さんもムリだって思ってた。とてもじゃないけどテニス部についていける気がしなかったから。でもね、剣道部の部活見学行って、すごく楽しかったって。先輩の話とかよく聞かせてくれるし、楽しいんだなあって」