「ほんとこえーよおまえ。……なんつーか、相手が隠してるつもりでいる隙をつくあたりがむしろ捕手向き」

「そりゃどーも」



褒めたどころかむしろ嫌味を言ったつもりなのに、悠介はにやりと笑ってみせる。

それにまたため息をつきそうになるのを、今度は堪えて。

俺はがしがしと頭をかきながら、隣の男を睨んだ。



「そういやおまえ、前に部活中、グラウンド脇のとこで蓮見としゃべってたって? ……まさかとは思うけど、何か余計なこと言ってねぇだろうな」

「なーんでヒロはそんなにガラが悪いかなー。余計なことってなに、たとえばヒロがゴキブリ苦手なこととか? 実はコーラを飲めないこととか?」

「ぜってーおまえ許さねぇ」



ますます目つきを鋭くしてツッコむが、それすら意に介するそぶりもない。

悠介はなぜか上機嫌な様子で続けた。



「いやー、蓮見さんいいコだよね~。ああいうコが自分の彼女っていいと思うよ。蓮見さん、ちっこくてかわいいし」

「……汐谷に言おう」

「は?! なんで?! なにを?!」



いろいろな面で悠介にダメージを負わされた俺は、とりあえずその悲痛な叫びを無視。

つーか、おまえがそんな天然タラシっぽい性格だから汐谷も苦労してんじゃないのかね。

そしてそのシワ寄せ(という名の愚痴)が俺に来るんだから、勘弁してもらいたい。切実に。