だけど、その日の昼休み。

また、私の心をかき乱す出来事が起きた。



「私、今の授業のとこ全然わかんないんだよねー」

「安心しなよさよちぃ! あたしは理科系全般さっぱりだから!」

「それはそれで気にするべきなんじゃないかな……」



そんな会話をしながら、5限目にある生物の授業のために教室移動をしていた沙頼と佳柄と私。

すると後ろからなんだか慌ただしい足音が近づいてきていることに気づき、私は何気なく振り返った。



「あ! 蓮見さんいたっ」

「あれ、里見くん……?」



見るとそこには、つい数時間前にも廊下で話した、里見くんの姿。

前を歩いていた沙頼と佳柄も、何事かとこちらを振り返っている。

目を丸くしながら足を止めた私の前に来た里見くんは、ここまで来るのに走り回っていたのか軽く肩を上下させていた。



「はー、見つけた俺すげーっ」

「えと、里見くん? どうかしたの?」



どうやら、彼は私を探していたらしい。困惑しながらも訊ねてみた。

私の問いかけに安堵の表情から一変、急に顔を険しくした里見くんが、せきを切ったようにまくしたてる。



「ついさっき、ヒロがっ! 階段から落ちそうになった奴を庇って、そしたら自分がバランス崩して……頭を強く打ったらしくて、目を覚まさないんだ!」

「──え?」