「ど、どうかなあ……」

「えー? かわいいと思うけどね、小動物ー」



のんびりとそう話す里見くんに、私は恥ずかしさと照れくささで、頬に熱が集まるのを感じる。

こ、こんなさらっと、『かわいい』とか。なんていうか、里見くんって無自覚にモテそうな人だ……。


さっきまでよりうつむきがちになった私に、気づいているのか否か。

里見くんは相変わらず笑いながら、それでもどこか困ったように、右手を自分の首の後ろにまわした。



「俺の彼女はさ、逆に獰猛なネコ科の動物って感じだから。近づくとひっかかれちゃうからね~」

「あ、里見くん、彼女いるんだ?」

「ん。同い年で、一応野球部のマネージャーなんだけどね」



コイツがまた扱いずらくて、とため息をつく里見くんに、思わずくすりと笑ってしまう。

だってその口振りだけでも、里見くんが彼女さんをちゃんと大切に想ってるんだってことが、なんとなくわかってしまったから。